租税

準確定申告の期限や必要書類とは?電子申告が出来ないってホント?

準確定申告とは、確定申告をしなければならない納税者が確定申告書を提出せずに死亡した場合に行われる手続です。

年の途中で死亡した納税者に確定申告すべき所得があった場合に、その相続人が相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に死亡した納税者の確定申告と納税を行わなければならないのです。

この際注意しなければならないのは、通常の申告期限である3月15日という日付は関係なく、あくまで『相続人が相続を知った日の翌日から4ヶ月以内』が期限となる、ということです。

準確定申告書の書き方

準確定申告書は、基本的に確定申告の際に使用するものと同じになっています。
それぞれ、申告書には

  • 申告書A
  • 申告書B
  • 付表

の3種類があり、亡くなった方の職業・経済状況によって使用する申告書が違ってきます。

申告書Aは会社員・アルバイトなどの給与所得者や年金受給者が亡くなった時に使用する申告書です。
一方、申告書Bは個人事業主が亡くなった時に使用する申告書になります。
また、相続人が2人以上いる場合は付表の提出が必要になります。
相続人が1人であれば、付表は必要ありません。

準確定申告書 第一表の書き方

引用:準確定申告:『国税庁HP』

第一表の上の欄には、被相続人の氏名・住所を記載します。
こちらの欄は、相続人の人数によって書き方が変わってきます。

相続人が1人の場合は、下の図を参考にしつつ、次のポイントにも気を付けて記入してください。

  • 申告書の前に『準確定』と記載
  • 相続人と被相続人両方の氏名・住所を記載
  • 余白部分に『相続人』の個人番号(マイナンバー)12桁と『被相続人』の死亡年月日を記載
  • 印鑑は『相続人』のものを使用
  • 『被相続人』の個人番号は記載不要

相続人が2人以上いる場合は、下の図を参考にしてください。

相続人が2人以上の場合は、第一表とともに付表も提出するので、ここでは

  • 被相続人の氏名・住所
  • 被相続人の個人番号
  • 被相続人の印鑑
  • 被相続人の死亡年月日

を記載するだけでOKです。

下の欄の所得金額などは、通常の確定申告の記入とほとんど違いはありません。
国税庁の記載例を参考にしながら、必要事項を記載するようにしてください。

準確定申告書 第二表の書き方

引用:準確定申告:『国税庁HP』

第二表も、上記の国税庁の記載例を参考にしながら、以下のポイントに気を付けて記載しましょう。

  • 所得の内訳=給与所得・年金の源泉徴収票を参考に記載
  • 所得がある場合は、源泉徴収票も一緒に添付
  • 医療費や社会保険料などの控除がある場合は、右欄に記載
  • 控除対象者の配偶者と扶養親族の個人番号は記入が必要

ちなみに、医療費の控除に関しては、被相続人が支払った医療費が対象となります。
被相続人の死亡後に、相続人が支払った医療費は控除の対象とはなりません。

もっと詳しい書き方を知りたい方は、国税庁『平成30年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き』を参考にしてください。

準確定申告書 付表の書き方

引用:準確定申告:『国税庁HP』

付表とは、相続人が2人以上の際に提出が必要となる書類です。
相続人が1人の場合は、必要ありません。

基本的に、付表の提出は1枚で問題ありませんが、相続人全員の印鑑・個人番号・必要事項の記入が必要です。

しかし、中には
『相続人の全員が集合するのは難しい』
『個人番号を他人に見られたくない』
というケースもあるのではないでしょうか。
その場合は、準確定申告を各個人が個別に申告書と付表を提出して行うことも出来ます。
但し、この場合は準確定申告を行ったことを他の相続人に通知する必要があります。

準確定申告の必要書類・添付書類について

準確定申告において必要となる書類は、通常の確定申告の際に必要となる書類とほとんど変わりません。

まずは、申告書に記載されたマイナンバーの確認を行うために、マイナンバーカード(個人番号カード)が税務署での提出の際に必要となります。
もし、マイナンバーカードを持っていない場合には

  • 番号確認書類(本人のマイナンバーを確認できる書類)
  • 身元確認書類(記載したマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類)

の2つが必要となります。
具体的には
番号確認書類
→通知カード・住民票の写し又は住民票記載事項証明書(マイナンバーの記載があるものに限る)などのうち、いずれか1つ
身元確認書類
→運転免許証・公的医療保険の被保険者証・パスポート・身体障害者手帳・在留カードなどのうち、いずれか1つ
となります。

また、申告内容に応じて、次の書類の添付又は提示が必要となります。

『収入金額等』で

  • 事業・営業等
  • 事業・農業
  • 不動産

を記入した場合は
青色申告者→総収入金額及び必要経費の内訳を記載した『青色申告決算書』
白色申告者→総収入金額及び必要経費の内訳を記載した『収支内訳書』
の提出が必要になります。

  • 配当

を記入した場合、上場株式等に係る配当等に関する申告については、申告する配当等の種類に応じた

  • オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書
  • 配当等とみなす金額に関する支払通知書
  • 上場株式配当等の支払通知書
  • 特定口座年間取引報告書

が必要になります。

  • 給与

を記入した場合、給与等の支払者から受領した『給与所得の源泉徴収票』(原本)が必要です。
給与所得者の特定支出控除を受ける場合には、HP『給与所得者の特定支出控除について』を参照してください。

  • 雑・公的年金等

を記入した場合、公的年金等の支払者から受領した『公的年金等の源泉徴収票』(原本)が必要になります。

『所得から差し引かれる金額』で

  • 雑損控除

を記入した場合、災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書が必要になります。

  • 医療費控除
  • セルフメディケーション税制による医療費控除の特例

を記入した場合、

  • 医療費控除の明細書
  • 医療費通知(医療費のお知らせ) (原本)
  • 各種証明書等(おむつ証明書など)
  • セルフメディケーション税制の明細書
  • 適用を受ける年分において一定の取組を行ったことを明らかにする書類

が必要になります。
医療費通知(医療費のお知らせ) (原本)は、明細の記載を省略する場合にのみ必要となります。
ちなみに、『医療費控除の明細書』と『セルフメディケーション税制の明細書』は、経過措置により、平成29年分から平成31年分までの確定申告においては、明細書を添付せずに医療費等の領収書の添付又は提示によることも可能です。

  • 社会保険料控除

を記入した場合、国民年金保険料及び国民年金基金の掛金について社会保険料控除を受ける場合は、『社会保険料(国民年金保険料)控除証明書』が必要になります。

  • 小規模企業共済等掛金控除

を記入した場合、支払った掛金額の証明書が必要になります。

  • 生命保険料控除

を記入した場合、支払額などの証明書(旧生命保険料に係るもので1契約9,000円以下のものを除く)が必要になります。

  • 地震保険料控除

を記入した場合、支払額などの証明書が必要になります。

  • 寄附金控除

を記入した場合は

  • 寄附した団体などから交付された寄附金の受領書
  • 特定の公益法人や学校法人などに対する寄附や、一定の特定公益信託の信託財産とするための支出に関しては、その法人や信託が適格であることなどの証明書又は認定証の写し
  • 政治献金に関しては、選挙管理委員会等の確認印のある『寄附金(税額)控除のための書類』

が必要となります。
ちなみに、確定申告書を提出するまでに『寄附金(税額)控除のための書類』の交付が間に合わない場合は、その書類に代えて寄附金の受領証の写しを添付して確定申告することが出来ます。
後日、『寄附金(税額)控除のための書類』が交付され次第、速やかに税務署に提出することになります。

  • 勤労学生控除

を記入した場合、各種学校や専修学校の生徒、職業訓練法人の認定職業訓練を受けている方は、その学校や法人から交付される証明書が必要となります。

  • 障害者控除
  • 配偶者(特別)控除
  • 扶養控除

を記入した場合、国外居住親族について控除の適用を受ける場合には、『親族関係書類』及び『送金関係書類』が必要になります。

『税金の計算』で

  • 『』(区分)

を記入した場合、適用を受ける控除の計算に関する明細書等が必要になります。

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除

を記入した場合は
HP『住宅借入金等特別控除を受けられる方へ』
『特定増改築等住宅借入金特別控除を受けられる方へ』
を参照してください。

  • 政党等寄附金特別控除

を記入した場合、

  • 『政党等寄附金特別控除額の計算明細書』等
  • 選挙管理委員会等の確認印のある『寄附金(税額)控除のための書類』

が必要になります。

  • 認定NPO法人等寄附金特別控除
  • 公益社団法人等寄附金特別控除
  • 住宅耐震改修特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
  • 認定住宅新築等特別税額控除

に関しては、

といった、それぞれのHPを参考にしてください。

  • 外国税額控除

を記入した場合、

  • 『外国税額控除に関する明細書』
  • 外国所得税を課税されたことを証明する書類

が必要になります。

準確定申告は電子申告できる?

国税電子申告・納税システムである『e-Tax』は、申告に関しては

所得税及び復興特別所得税(死亡した場合のいわゆる準確定申告を除く、以下同じ)、贈与税、法人税、地方法人税、消費税(地方消費税を含む、以下同じ)、復興特別法人税、酒税及び印紙税に係る申告

のみ可能となっています。

つまり、準確定申告を電子申告で行うことは出来ないのです。

ちなみに、納税に関しては

全税目に係る納税(源泉所得税の納付や納税証明書の発行のための手数料の納付を含む)

申請・届出等に関しては

青色申告の承認申請、納税地の移動届及び納税証明書の交付請求、法定調書の提出などの申請・届出等

において、電子申告が可能となっています。

なお、利用者の選択によって、申告、納税及び申請・届出等の全てを利用することや申告手続のみなど一部についても利用することが可能です。

電子申告が利用できる方

電子申告であるe-Taxを利用できるのは

  • 所得税
  • 贈与税
  • 法人税
  • 地方法人税
  • 消費税
  • 復興特別法人税
  • 酒税
  • 印紙税

に係る申告、全税目に係る納税、青色申告の承認申請、納税地の異動届及び納税証明書の交付請求、法定調書の提出など、税法に規定されている申請・届出等の手続を行う納税者で、インターネットを利用できる環境を有しており、かつ、電子署名用の電子証明書を保有している方となります。

ちなみに、所得税徴収高計算書、納付情報登録依頼及び納税証明書の交付請求(署名省略分)のみを利用する場合については、電子証明書を不要となります。

また、税理士及び税理士法人等の税理士業務を行う方もe-Taxを利用できます。
税理士法により税理士業務を行うことができる者とは

  • 税理士
  • 税理士法人
  • 国税局長に同法第51条第1項の通知をした弁護士
  • 国税局長に同法第51条第3項の通知をした弁護士法人

となります。

税理士等が納税者の申告等データを作成し、送信する場合は税理士等の電子署名の付与及び電子証明書の添付のみで送信することができるようになりました。
納税証明書の交付請求手続をe-Taxを利用して行う場合は除きます。

なお、申告所得税、法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税、申告所得税及び復興特別所得税、復興特別法人税の電子納税のみを利用する方については、電子署名用の田sに証明書やインターネットを利用できる環境がなくても利用できる、簡便な手続(特定納税専用手続)があります。

電子申告利用の手続について

e-Taxで申告手続等を行う場合には、本人確認を行う必要があるため、マイナンバーカードに組み込まれている『公的個人認証サービスに基づく電子証明書』などの電子証明書を取得する必要があります。
特定納税専用手続利用者又は所得税徴収高計算書、納税情報登録依頼及び納税証明書の交付請求(署名省略分)のみの利用者を除きます。

なお、電子証明書を発行する認証機関によっては、電子証明書がICカードに組み込まれている場合があります。
この場合は、別途ICカードリーダーライタ及びそれを使用するための専用ソフト(詳しくは、ご利用の電子証明書の発行元に確認)が必要になります。

e-Taxを利用しようとする方は、電子申告・納税等開始(変更等)届出書(以下『開始届出書』)を、事前に納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。
『e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー』を利用すると、オンラインで開始届出書を提出(送信)し、利用者識別番号等についてもオンラインで取得できます。
特定納税専用手続を利用する場合は、開始届出書をオンラインで提出することが出来ません(書面のみでの提出)。

開始届出書をオンラインで提出した場合は、利用者識別番号等がオンラインで発行(通知)されます。
なお、開始届出書を書面で提出した場合には、後日税務署から利用者識別番号等を書面で通知されます。

e-Taxソフト等を利用して、e-Taxに初めてログインする際は、暗証番号の変更(利用者識別番号等をオンラインで取得した方を除く)、納税用確認番号の登録(電子納税を行うために金融機関のシステムを利用する際に必要となる任意の番号)及び電子証明書の登録などを行う必要があります。

準確定申告が不要な場合

準確定申告は、亡くなった方の全てが必要となるわけではありません。

準確定申告が必要となる条件は、確定申告が必要となる条件と同じとなります。
具体的には以下の条件となります。

  • 給与所得がある方(大部分の方は年末調整により所得税等は清算されるので申告は不要)

次の計算において残額があり、さらに1~6の条件に該当する方が対象となります。
各種の所得の合計額(譲渡所得・山林所得を含む)から所得控除を差し引く
(課税される所得金額)

課税される所得金額に所得税の税率を乗じる(所得税額)

所得税額から配当控除額と(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を差し引く

  1. 給与の収入金額が2,000万円を超える
  2. 給与を1ヶ所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得・退職所得を除く)の合計額が20万円を超える
  3. 給与を2ヶ所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と各種の所得金額(給与所得・退職所得を除く)の合計額が20万円を超える
  4. 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与の他に、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
  5. 給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収額の徴収猶予や還付を受けた
  6. 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている

ちなみに、3のケースは、給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要になります。

  • 公的年金等に係る雑所得のみの方

公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある方のみが対象となります。
ちなみに、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合には、申告は不要となります。

  • 退職所得がある方

外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある方が対象となります。
ちなみに、退職金などの支払者に『退職所得の受給に関する申告書』を提出した場合、一般的に、退職所得に係る所得税等は源泉徴収により課税が済むことになります。
そのため、退職所得の申告は不要になります。

  • どれにも当てはまらない方

次の計算において残額のある方が対象となります。

  1. 各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から、所得控除を差し引く
    (課税される所得金額)
  2. 課税される所得金額に所得税の税率を乗じる
    (所得税額)
  3. 所得税額から、配当控除額を差し引く

ちなみに、公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときには、所得税等の確定申告は不要となります。

これら4つの条件のどれにも当てはまらない場合のみ、準確定申告が必要となります。